入学してすぐの保護者会で、先生は言った。
「お母さん、ご子息の手を離してください。
合宿の準備もすべて自分でやらせてください。
忘れ物があっても死にません。」
強い。
こちらはまだ入学して数日。
制服のボタンすら心配な時期である。
しかも最初のオリエンテーション合宿。
集合場所は学校ではない。
大人でも迷う大きな駅から少し歩く、大きなビルの前。
しかもスマホ禁止。
正気か。
一週間前、地図を見ながら予行練習。
案の定、迷いまくる息子。
私は思った。
やっぱり無理なのでは。
当日。
心配で、後ろからついていった。
完全に尾行である。
正直に言うと、
合宿の準備は、かなり私がやった。
先生、ごめんなさい。
けれど。
帰ってきた息子は、少しだけ顔が違った。
それからは、自分で準備をし、
友達と約束し、
電車を乗り継ぎ、
どこへでも行くようになった。
あの日、駅で尾行していた私のほうが、
一番迷っていたのかもしれない。
男子校は、男子を強くする。
忘れ物があっても、死なない。
手を離さなければ、成長もしない。
男子校男子、今日も謎です。



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